#045 狂歌のこと

そう昔のことではない。狂歌を詠むことで知られたある人が湿瘡を患った。親しくしていた友人が見舞いに訪れたところ、遠いところからよく来てくれたと謝するのに合わせ、自分の身の上を詠んでみせた。

香がむさし気のくにするが身のひぜんこれでは哀れいきかいもなし

加賀武蔵紀伊の国駿河美濃肥前これ出羽安房れ壱岐甲斐もなし

(悪臭を漂わせるこの身は衰えるばかり。これでは生きている甲斐がないというものだ)

「この狂歌ほど遊びのないものはない」と、曲淵甲斐が話してくれた。

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