#034 カナマラ明神の由来のこと

津軽のある家の家臣の話である。

津軽へ行く道中にカナマラ明神という神社がある。黒銅でこしらえた男根を御神体としている。どういう由来があるのかと土地の古老に尋ねたところ、次のように語ったという。

「昔、この土地にひとりの長者がおりましてな。娘が一人おりましたが、成長するにつれこの辺りには二人といない美しい娘となり、長者夫妻のかわいがりようは大変なものでございましたと。近隣の年頃の男どもは競い合って求婚し、夫妻には息子がなかったため婿を選んで迎え入れましたが、何があったものか、婚儀の夜に婿が急死。それから後、何人か婿を入れたものの同様に急死、あるいは逃げ帰りましたので、両親は大変困惑したと。娘に訳を尋ねると『私にもなぜなのかわかりません』というので、不思議なことだと嘆きながら暮らしておりました。

あるとき、逃げ帰った男が他人に話したところによると『彼女のあそこには歯が生えているので、怪我をするか喰いちぎられる』とのこと。これが噂になって、娘の耳にも入り、外出するのもままならないようになりました。

そんな折り、ある男がこれを聞いて『わたしが婿になりましょう』と申し出ましてな。両親にとっては否も応もない。喜んで迎え入れました。婿は黒銅で男根をこしらえ、婚儀の夜、その黒銅を娘の陰部に挿入しましたところ、牙は黒銅に喰いつき、残らず砕けて折れてしまいました。その後は普通の娘になったということですじゃ。この黒銅を神と祝って、今に至るまで崇め祭っております」

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