#032 微物に奇術のあること

その昔、日下部丹波守が語ったことだという。

「ある秋の日、私邸の庭の池に蜻蛉とんぼが多く群れ集まり飛び回っていたのだが、ふと見ると十数尾のふなが水面から蜻蛉を見つめている。鮒たちは何やら池の中をくるくると廻り始めた。蜻蛉もそれに合わせて回っていたのだが、やがて次々と自分から水中に落ちた。鮒はこれを争うように貪り食ったのだ」

曲淵甲州の話である。

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