#030 鼻金剛のこと

 金剛太夫の家に鼻金剛という面が伝わっている。いつの代のことか、金剛太夫は身持ちが悪く、先祖より伝わった面を人手に渡し、ある能を舞うのに面がないため困り果てたことがあった。

その際、彼はあろうことか、ある寺の門に立っていた仁王像の頭を叩き折り、これを面にこしらえてなんとかその場をしのいだ。しかし、仏罰であろうか、その後金剛太夫は鼻に大けがをしたという。

この面は今に至るまで金剛家の家宝として伝わっているが、俗家においておくのももったいないと京都のどこかの寺に納め、代替わりの際に一度だけ面を拝する習わしとなっている。二度拝すると罰が当たるとの言い伝えがあるという。

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