#07 僧を嫌う理由

父源蔵が勝五郎がひどく仏教、僧などを嫌う理由を語った。

「去る二十一日、ある寺(訳あって寺号は記さない)を訪れた際、茶だ菓子だともてはやされたのですが勝五郎は「寺のものは汚い」といってまったく手を付けませんでした。とても居心地の悪い思いをさせられました。

一昨年、我が家に源七という遠縁の病人をおいていたことがあったのですが、それが亡くなったとき弔いに来た僧に布施として銭を包んだのを勝五郎が見て『なんでいつも門口に立つ坊さんに物を与えてるのに、今度もまた銭をやるの?』と聞きました。

『坊さんというものはな、人に物を乞うて生活してるのだ。だからやるのさ』

『坊さんは人の物を欲しがる悪い奴だ』

それ以来嫌いになったように思います」

これを聞いていた勝五郎がかぶりを振った。

「違う。嫌いな理由はほかにある。元から嫌いなんだ」

勝五郎は言葉に力を入れて否定した。その理由を尋ねたが、言を左右にして答えなかった。

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