#007 両国橋の掛け替えのこと

吉宗公の御代に両国橋の掛け替えがあった。工期がたびたび遅れ 担当役人らも何度か交代となったため、町の噂にも「両岸から伸ばした橋が川の真ん中で合わないんだとよ」「また、工事が失敗したらしい」と現場の不出来を取りざたす声がかまびすしかった。

これが上様のお耳に入るところとなり、近々直々に御覧遊ばされると仰せになられ、その節は担当役人達も現場に控えているようにとのお達しがあった。担当役人達はいずれも「どんなお叱りを受けることか」と心中穏やかではなかった。

当日のことである。上様は御船で現場に寄られ、じっくりとご覧になった後「よく出来ているではないか。みなご苦労」とお側の者を通して声をかけられた。担当役人らはいずれもそのお気持ちに深く感じ入った。それから町の噂もたちまち止んでしまったという。

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