#082 雷を嫌うものではないということ

長崎の代官を勤めた高木作右衛門の祖父はその辺りの長を勤める身であったが、雷を何よりも嫌っていた。雷のときのために穴を掘って部屋をこしらえ、さらに横穴を掘って石槨(※石の棺)を置き、雷が鳴るとこの石槨に身を置いてしのいでいた。

あるとき栄転を果たし江戸表へ召されたのだが、その留守中のことである。夏、かつてないほどおびただしい落雷があり、例の穴室にも落ち、石槨を粉々に砕いた。帰府して後これを聞き及び、彼は己の命を救った公儀の差配に感謝した。それからというもの運を感じたのか、雷を恐れることはなくなったという。

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