その昔、日下部丹波守が語ったことだという。
「ある秋の日、私邸の庭の池に蜻蛉が多く群れ集まり飛び回っていたのだが、ふと見ると十数尾の鮒が水面から蜻蛉を見つめている。鮒たちは何やら池の中をくるくると廻り始めた。蜻蛉もそれに合わせて回っていたのだが、やがて次々と自分から水中に落ちた。鮒はこれを争うように貪り食ったのだ」
曲淵甲州の話である。
耳袋/仙境異聞/勝五郎再生記聞の現代語訳とか
その昔、日下部丹波守が語ったことだという。
「ある秋の日、私邸の庭の池に蜻蛉が多く群れ集まり飛び回っていたのだが、ふと見ると十数尾の鮒が水面から蜻蛉を見つめている。鮒たちは何やら池の中をくるくると廻り始めた。蜻蛉もそれに合わせて回っていたのだが、やがて次々と自分から水中に落ちた。鮒はこれを争うように貪り食ったのだ」
曲淵甲州の話である。